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    2021.06.09
    【社会福祉学科】授業紹介:発展ゼミナールⅠ(加藤クラス)
発展ゼミナールⅠは2年生の必修科目です。主な内容はスタディスキルズの獲得を目的とした資料をより深く良く方法(リーディング)や、文献検索や文献収集、そしてレポート作成、ミニ研究と発表で構成されています。
 
前期・後期と継続して履修しますので、1年間かけてじっくりと社会福祉に関連する事柄について自分なりに学習していくことも求められます。例年、受講生が興味・関心をもつテーマは児童虐待防止、障害者支援、医療ソーシャルワーク、認知症介護などそれぞれ多岐に渡っています。そこで、個々の興味関心を尊重しつつ、メンバー全員で取り組むことができる統一テーマを検討した結果、今年度は「ヤングケアラー」をゼミのテーマにしました。
 
教材は『ヤングケアラー わたしの語り 子どもや若者が経験した家族のケア・介護』(2020、生活書院、編者:澁谷智子氏)です。この本はヤングケアラー当事者の方の語りで構成されており、それぞれの章をメンバーで分担し、発表、意見交換に取り組みます。
 
「ヤングケアラー」については最近、ニュースなどで報じられることも多く、一度は耳にした方も多いのではないでしょうか。ヤングケアラーとは、家族の病気や障害で年齢に見合わない役割や責任を担わざるを得ない児童や生徒のことをいいます。
 
家族にケアが必要となる要因は様々です。精神疾患や障害、難病、認知症など、ゼミメンバーそれぞれが履修しているソーシャルワーク、精神保健や介護福祉、教員免許などの専門教科の知識と関連付けながら、ヤングケアラー当事者が置かれている困難の背景や、当事者の視点で求められる支援について考えていく時間にしたいと考えています。
 
写真は6月1日の発表の様子です。発表者はヤングケアラーの状況や思いについて書籍の内容をもとに紹介し、メンバーで意見交換したいポイントを報告します。
 
この日の意見交換の内容は「友達に家族の事情を打ち明けて相談することができなかった。介護のことを友達に話すと、遠慮されて遊びに誘ってもらえなくなるのではないか、という不安にどのように寄り添ったらよいか」というものでした。

最終的には「友達に話したかった、相談したかった」のか「だれかに話したかったのか、相談したかったのか」という問に絞り込み、メンバー全員が意見とその理由を述べることができました。
 
なかなかすぐに解決策や正解を導くことはできませんが、当事者の方が置かれている困難の背景について深く考えていく機会にしていきたいと思います。

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