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2023.05.26

エッセイ『わたしと国際交流』安藤満代先生

 私がネパールから来た留学生のスーさん(仮名)との思い出を書きます。スーさんはある大学の看護学研究科の大学院生として留学してきました。私は論文指導教員になり、スーさんと2年間を過ごしました。スーさんの母国語はネパール語でしたので、お互い流暢ではない英語で会話をし、論文を英語で仕上げました。スーさんは、正規留学生になる前には奨学金が受けられなかったので、生活費のために「うどん屋」でアルバイトをしていました。うどん屋のおばちゃんは優しく、日本について色々と教えてくれていました。私はうどん屋の話を聞くのは好きでした。日本語学校が終わって、正規の大学院生となり、そこからは奨学金を受けることができ、少し余裕が出てきたようでした。論文を書くために、本来は「日本とネパールの看護管理の比較」をしたいと思っていました。ただし、そうなると研究倫理審査を受ける必要があります。スーさんは研究協力施設を探したりするために一度、帰国をしました。スーさんが住んでいるところには、常時電気があるわけでなく、私とのやりとりのメールも見たり、見なかったりで、なかなかうまく研究計画の話ができませんでした。いくつか研究協力の施設はありましたが、倫理審査委員会が先方にはなく、どうしたものかと考えました。スーさんは看護師のバーンアウトを研究したかったのですが、尺度を日本語からネパール語に翻訳し、それの信頼性や妥当性が確保できるかどうかなどを考えると、はやり比較をすることはできないということになり、日本のデータだけをとることになりました。しかし、研究依頼文や説明文をスーさんは日本語で書けないので、私が書いたように思います。データをとって分析し、最後に書く段階も英語で論文を書くことになりますので、
スーさんも私も大変でした。この間にも、スーさんは体調を壊すこともあり、なかなか大変でした。そして最後にスーさんは修士論文を書き上げ、修士課程を修了することができました。スーさんが5本指のかわいい靴下にサンダルを履いて大学に来ていたこと、三つ編みをして、すこし照れくさそうにする笑顔を私はときどき思い出します。またいつか連絡をとりたいと思います。

                                                心理カウンセリング学科
                                                安藤満代
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